TOP てれびの裏仕事目次に戻る

  ネタ探しの日々  

 
テレビの仕事で一番面倒だと思うのは、ネタ探しである。
番組の企画を挙げれば、当然そのネタ探しも必要となる。
つまり、「凄い大家族ネタをやろう!」って言えば、
当然「じゃあ、その凄い大家族を探してこいよ!」という話になる訳だ。
どんな面白そうな企画でも、実弾が無ければ話にならない。
閃きだけではナンともならないのが、企画系番組の面倒なところであるが、
このネタ探しが半端じゃなく面倒な上に難しいのだ。

例えば「夫婦喧嘩特集」なんてやっちゃった日には、実弾探すのに地獄見ることとなる。
ディレクターは平気で
「自営業で旦那が外に女作って遊び呆けててさ、店は何千万って借金苦で、
奥さんが独りで店を切り盛りしてて、喧嘩の絶えない夫婦なんて居ないなか〜?」

なんて言うけどな。
確かに普通の夫婦喧嘩では面白くもクソもないが、
頑張ってそんな弾を見つけたとしても、最難関は出演交渉である。
誰だって全国ネットで家族の恥を晒すのは嫌に決まってる。
OKなんかした日には根掘り葉掘り取材するし。
仕方無いので、そういう時は比較的容易な夫の趣味vs妻の趣味みたいな形に走ったりもするが。

で、何が一番面倒かといって、ネタを出しても出しても、
締め切り直前までディレクターから「他に面白いネタない〜?」と言われるコトである。
余程面白いネタなら話は別かもしれないけど、
万一の事故に備えて複数のネタはストックしときたいのだろうし、
より多くのネタを持って選択肢も広げておきたいのだろう。

と、いう訳で、出しても出しても「まだ無い〜?」と電話が鳴るので休みもクソもあったもんじゃない。
新人の頃は、それでもより印象を良くしようとガンガンネタを探してたんだけど、
ある程度仕事も増えてくると物凄く面倒になってくる。
こうして俺は怠けることを考える。

まず最初に頑張ってネタを4つ程度見つける。
締め切り間近になって3つほど提出。
急かされ具合によっては、その前に一つ出す。
この締め切りってのが曲者で、たいがいサバを読んで言ってるので、
締め切り過ぎても「まだ無い?」攻撃がくるのは毎度のコトだ。
で、手元にストックを残して俺は休日を満喫。

昼間でグースカ寝て催促の電話が鳴っても「いや〜、今奮闘中です。」
オナニーの最中に催促の電話が鳴っても「今、頑張ってます!(オナニーを)」

これでイイのだ。
名付けて朝三暮四作戦。
こうでもしなきゃやってられん。

こうして客観的に見ると、自分が全然成長しない理由がよく分かる。
尤も、この作戦も“最初の数日で必ず使える面白いネタを数点見つけておく”という前提はあるので、
結果主義の世界から考えると文句を言われる筋合いは無い。
ネタが無ければ話にならないし、何本ネタ出そうが面白くなければやり直しを喰らうだけだ。

手を抜いたコトが問題なのではない。
それで空いた時間を有効に使わないのが俺がダメ人間たる所以である。









アクセス解析 SEO/SEO対策