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  勧誘という名の徴兵  

 
大学時代に俺が所属していた部はどうみても体育会系であった。朝練も完備されてるし、夏休みも出勤しなくてはいけない。朝も運動、午後も運動、休日も運動。バラ色のキャンパスライフを夢見る若者にとって、それはあまりにも縁遠い世界である。男塾の世界ですよ、男塾。そのため、入部を希望するような奇特な人間は極めて少ない。 だから、我々も勧誘には宗教団体やマルチも顔負けなくらい必死である。今回はその辺の経緯について鋭くメスを入れてみることにした。
まず、新歓のシーズンが始まる前に朝練という言葉は使用禁止になる。 仮入部の際「明日の朝練さぁ・・」と口走った先輩が、机の下で思い切り腿をつねくられたのを俺は見逃さなかった。見逃さなかったというか、



先輩A「痛ぇよ!」
先輩B「痛ぇじゃねぇよ!気を付けろ。」
先輩A「あ・・ごめん。内緒だったんだ。」
そんな会話すりゃ誰でも気付く。




で、朝練について先輩に質問したら “試合の1ヶ月前にある”。というので、それなら仕方ないと思い入部したのだが後で聞けば






“毎月試合があるじゃねーか!”


・・・・やられた。
別の奴は“日曜日は休みですか?”と聞いたら笑顔で“うん、休みだよ。” と言われ入部したら“午後練が休みなだけだった。” そんな感じで毎年、某悪徳通販並みに被害が続出している。そのうちジャロに訴えられるかもしれない。。



次に下宿回りである。 これは市内の下宿を新入生を探して片っ端からまわるというこれまたどっかの団体さんみたいに大変怪しい行為である。 しかも、右も左も分からない新入生がドアを開けたら180cmくらいのとても黒くてゴツイ男が3〜4人くらいいるのだ。 そりゃ、自衛隊の出張勧誘と間違われても仕方ない。ただ、ウチの部にも学習能力はあるようで最近は比較的かわいい女の子を前面に出すようになった。



そして、最後は学食前での仮入部の誘いである。 俺らは貴重な昼休みをつぶして愛想のない新入生らしき奴にスマイルで “ちょっとウチの部に遊びに来ない?”と誘うのだ。 ここでクソ生意気な返事はよくあることだが俺は大人なので怒らない。せいぜい側にあるごみ箱を蹴っ飛ばすくらいだ。 この勧誘はかなりしつこく、1度顔を覚えられたら最後である。 しかし、この勧誘のおかげで知らない人にも平気で声をかけれるようになった。数年後、仕事で飛び込み電話や街頭アンケートをすることになるが、このときの経験は大いに役立ったもん。人間、何が役に立つか分からんものだ。


そして何人かは仮入部に来てくれるのだが、ここまでくれば占めたもの。“君、ホントに初めてー?ウソやろ。” などとあまりにも下手糞でどこから注意していいかも分からない新入生を入部した途端“お前らヘボヘボすぎるぞ!”豹変するような先輩がホメ殺す。 そしてもうちょっと体験したいなと思うところで切り上げる。 その後はメシを奢り楽しく雑談。ここではほとんど勧誘はしない。そして最後に“また遊びにおいでよ。”とだけ言って別れる。そうすれば、馬鹿な新入生はメシ目当てくらいでもう1度くらい来る。そして知らない内に部員と化してるのだ。う〜ん、恐い。 みなさんも怪しい勧誘には気を付けよう。



俺も飯目当てで捕まったクチだけどな。




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