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  部活動の思い出・後編   

 
時は経ち、俺は社会人になっていた。

社会人になって間もない頃、後輩の一人がインカレで準優勝を飾ったという知らせが届く。
色白デブ眼鏡で気弱・・・そんな第一印象だった彼は、
やはり練習について行けずに退部と継続の間で葛藤しながら日々を過ごしていた。
そして、俺と同じように・・本当にまったく同じように一年の秋の中国大会で惨敗。
結局「俺、絶対部活辞めませんから、絶対今度は勝ってみせます」
なんて台詞を吐いて練習に明け暮れるようになった。
その後、主務を務め、後輩達を纏めながらインカレに出場して錦を飾るに至る。
現在、彼は警察官として必死で働いている。

そして、時は現在。
久方に練習場に顔を出し、桟橋を眺めながら思いに耽る。
真夏とはいえ、夕暮れ時になれば涼しい風も吹く。
この場所で俺たちは最高の4年間を過ごした。
けれど、今の自分にはこの場所は単に思い出の場でしかなく、
今の俺はその景色の住民になることなどできやしない。
この舞台にはこの舞台で生きている者たちが既におり、古い人間の入る余地など無い。

そして、今の俺には今の俺が生きるべき舞台がある。
俺は俺の舞台で昔と同じくガムシャラに戦えば良いのだ。
根性論など支持する気は毛頭無いし、腹黒い策だって幾らでも張るが、
根底にながれるガムシャラさというのは絶対に必要だ。
それに、一緒に戦った仲間達もいる。
離れていても、会えなくても、みんな各々の舞台で全力戦っているだろう。
そう思うだけで心強いし、 そしてなによりも過去の自分が見て失望するような生き方だけはしたくない。
こんな場所に書き残したり、ペラペラ喋る事なんかじゃない。
あの4年間を本当に大切に思うのなら、それが一番の在り方だと考える。








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