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  部活動の思い出・前編   

 
この夏、久々に大学時代の仲間と会う。
彼等は部の同回生で、共に汗水垂らしてきた仲間だ。
共に練習をし、共に飯を食い、共に飲んで騒ぎ、共に色恋沙汰に励み、
稀に本気でケンカして、共に笑いながら4年間を過ごした。
大学を卒業し早5年近くが経過した今、彼等はどう変わったのだろうか?
それとも昔と同じようにバカやって騒いでるのかな?

皆に会うのは楽しみだし、会う日が近づくにしたがって懐かしい日々を思い出す。
ガラでもないが、たまには昔話に想いを馳せてみるのも悪くは無いかもしれない。
それに、考えてみれば今の自分が存在するのは、 この部と仲間のお陰であると言っても過言ではない。
今回は部に没頭してた頃の自分を思い出してみることにした。


俺の所属していた部はボート部だ。
正直、かなりマイナーなスポーツなんじゃないかな。
じゃあ、何故俺がそんな部に入ったのかと言えば、分かってると思うが純粋な動機ではない。
見学に行けばメシを奢ってもらえるという噂を聞きつけ、遊びに行ったのが発端。
あとは勧誘してくれた美人な先輩目当てかな。

ちなみに入学式の時の勧誘でもボート部に捕まった。
他にはアメフトやラグビー、空手、柔道、レスリング・・・。
文化系には1つも勧誘されなかった。何故?未だに分からない。

そして俺はずうずうしくも2回も見学に行って、
しかも2回目はステーキを注文するという豪快な真似をしでかした。
別にそれだけで入部を決意した訳ではない。

実際にボートを漕いでみたら楽しいのだ。
それに女の先輩達も皆キレイだったんだ・・そりゃ、たまらんよ。
10年若返っても、この部分だけは変わっちゃいない。
朝練もあるのは知ってたのだが、
まぁなんとかなるか・・という持ち前のお気楽さで入部。

甘かった。

入部した途端、毎朝5時起きの生活が始まった。
練習もかなりきつく、高校時代運動してなかった俺にはかなり堪えたな。
最初の頃は筋肉痛が離れることがなかったもん。
もう、部活が終わったらすぐ寝る生活。
一体自分は何してるんだ?という疑問を抱く日だって少なくは無かった。

しかも、当時の俺は同回生の中でも下のほうで、 走ったりしたら10分くらい遅れてゴールすることもザラ。
大体何しても1歩遅れてたし。
そんな訳で、練習の日々には常に劣等感も付いて回ってた。

が、逆にこの劣等感のおかげで退部することはなかった。
やっぱりあいつは辞めたか、と思われるのが嫌だったから。
まぁ、半端者の精一杯の強がりだったんだろう。

そんな日々が延々と続き、やっと1回生のデビュー戦がやって来る。
残念ながら人数の都合で1人だけ別の1人用の艇でやることになった。
やはりというべきか、自分がその1人となった訳だ。
気分的には1人放られた気分。
毎日俺の練習を見てくれてた先輩がいたが、かなり恐かったなぁ。
俺にとっては世紀末覇者みたいな存在だった。

あ、ちなみにコノ先輩女なんだけどね。
もしかしたら、この辺りから俺のMが開花し始めたのかもしれんな。

しかし、残念なことに俺はそんなにやる気ではなかった。
1回生1人で試合に出て、他校の3、4回生に勝てる訳ないと思ってたから。
つまり、既に勝負を捨てていた。
ところが、ソコソコにでも練習すれば上達はするものだ。
自分にもしかしたら・・という考えが図々しくもよぎり始めた。
また、自分もいろんな先輩の世話になってたのだが、
先輩等の熱意にも感化されたのだろう、ある日を境に俺は必死で練習を始めた。

そして試合当日、トーナメント表を見れば俺は12人中8位で準決勝に進出できるではないか。
周りはラッキーだと言うが、俺はこれで落ちたら益々惨めだと考えてた。
所詮はその程度の選手、試合はあっさりと惨敗に終わる。
敗者復活戦(ボート競技には何故かある)での惨敗も100%確定だろう。

ところが世の中何が起こるか分からないもの、
選手4人がいっぺんに棄権したため俺は敗者復活戦無しで準決進出となった。

当然、準決も惨敗である。

他の必死で練習してた1回生は予選落ちして悔しがってる。
皮肉にも最もいい加減な選手が最も結果を出すカタチとなった訳だ。
自分の気持ちは最高に惨めだった。
試合では完全に格の違いを見せ付けられ、自分の考えの甘さを痛感した。
負けて当然の事であり、ただ惨めな気持ち、
自分だけ部外者にされたような気分の中、悔しがることも出来なかった。
当たり前だ。
真剣に打ち込んでいないのに、負けても悔しい訳がない。
ジャンケンで負けて悔し泣きする奴が居ないのと同じだろう。
記録に残るカタチだけの準決進出の文字がより一層惨めだった。

只、中途半端に先輩から言われた練習してるだけで、 「頑張ってますよ!」って1人前を気取っていた自分、
そのくせ劣等感を感じてるクセに何もしなかった自分、胸が痛くてたまらなかった。
もう、こんな思いはしたくはない、自分の中に決意が芽生えた。









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